転勤族の悩みごと!持ち家は貸す?賃貸にするメリットと注意点
持ち家を所有している人にとって、転勤が決まったときにもっとも悩むことのひとつが「家をどうするか」ということではないでしょうか。転勤期間中、持ち家を空けたまま賃貸住宅に住むのももったいないので、家を人に貸すのもひとつの方法です。ここでは、転勤族が持ち家を人に貸すメリットやデメリット、注意すべき点などについて詳しく解説します。
持ち家はどうする?転勤の期間や家族の状況などで選択肢は3つ
転勤が決まると、持ち家をどうするかの問題が生じます。単身赴任が嫌で家族で転勤先に引っ越す場合、考えうる選択肢は「誰かに貸す」「売却する」「空き家のまま」の3つです。いずれの選択肢を選ぶかについては、転勤の年数が一つの基準となります。たとえば、1〜2年程度で確実に戻ってくることがわかっているなら、貸したり売却したりする手間をかけず、空き家のままにしても良いでしょう。
転勤期間が3年程度であれば、家貸す選択肢がおすすめです。賃料を得られ、手間をかけるだけのメリットがあります。転勤が5年以上になるか、そもそも戻ってこられるかどうかわからないようであれば、売却を考えるべきでしょう。これは、それだけの長い期間離れていると、所得や家族の状況が大きく変わっていることが想定されるからです。いったん売却し、戻ってきてから再びそのときの状況に合った家を探して購入することがオススメです。
ただし、いずれの選択を選ぶかについては、転勤の年数だけでなく、住居の築年数や子どもの年齢、想定される転勤後の生活なども幅広く考慮することが必要です。
転勤する期間に持ち家を貸すメリット
転勤期間中、家を賃貸に出すと、さまざまなメリットがあります。もっとも大きなメリットは「賃料が得られる」点です。空き家のままにしていると、当然ながらどこからも賃料は入ってきません。人に貸せば、毎月決まった賃料が得られます。持ち家にかかる住宅ローンの返済や、転勤先で借りる住居の家賃に充てることも可能です。ただし、家を貸して得た収入は不動産所得にあたるため、一定の税金を納めなければなりません。とはいえ、固定資産税や都市計画税、火災保険料、修繕費などが必要経費として認められるため、収入から控除できます。
人が住まない家は傷みやすいものです。空き家にする場合、家の傷みを防ぐためには定期的に転勤先から通い、窓を開けて空気を通さなければなりません。家を貸した場合、中で誰かが生活することで通気や通水が自然と行われ、無人による老朽化が自然と防げます。また、期間を限定した「定期借家契約」でマイホームを貸せば、契約を更新する必要がありません。契約が終われば貸していた相手は退去するため、転勤から戻ってきたときに特に問題なく再び住めます。
転勤時に持ち家を貸すデメリットと対処法
転勤時に家を貸すことは、メリットだけでなくデメリットもあります。どのようなデメリットがあるかを知っておくことが大切です。たとえば、入居者によっては住居の壁や床、建具に傷をつけたり、水回りが著しく汚れたりすることもあり得ます。対処法としては、原状回復費用を請求したり、入居時に受け取った敷金から清算したりすることになるでしょう。とはいえ、ついた傷や汚れがもとに戻るとは限りません。また、転勤期間は必ずしも当初の予定通りとはいかないものです。当初の予定よりも短くなった場合、戻る家がなくほかに借りなければいけない事態に陥る可能性もゼロではありません。さらに、人気のエリアでなければ、そもそも借り手が見つからないこともあるでしょう。
上記のようなデメリットに対応するには、不動産会社や管理会社と契約して対応を任せるのがおすすめです。転勤族が定期借家契約で持ち家を賃し出す「リロケーション」に特化した管理会社もあり、安心して任せられます。
住宅ローンや住宅ローン控除はどうなる?
賃貸に出そうと考えている持ち家が住宅ローン返済中の場合、少々注意する必要があります。なぜなら、場合によっては貸せないことがあるからです。そもそも、住宅ローンとは、住むための家を買う資金を借りることであり、当該物件を賃貸に出すことは想定されていません。融資を受けた金融機関に無断で引っ越し、持ち家を賃貸に出すなどすると、契約違反だとして一括返済を求められる恐れがあります。
ただし、事前に金融機関に相談して一定の手続きをすれば、住宅ローンを継続できることが一般的です。とはいえ、金融機関によって対応が異なるため、まずは事前によく相談し、確認しましょう。なお、住宅ローンは継続できても、住宅ローン減税制度は適用されなくなる点にも注意が必要です。住宅ローン減税制度とは、個人が住宅ローンを利用して住宅を取得した場合に、一定の要件を満たせば住宅ローン残高の1%が10年間控除される制度です。これは居住目的の住居にかかるローンに対して適用されるもののため、賃貸に出すことで受けられなくなります。
転勤時に持ち家を貸すのも選択肢のひとつ!ただし状況を考えよう
持ち家を所有している人が転勤を言い渡されたとき、家をどうするかは重要な問題です。単身赴任するのでなければ、「貸す」「空き家にする」「売る」が現実的な選択肢でしょう。家を貸せば賃料が入り、家の老朽化が防げるなどのメリットがありますが、デメリットもゼロではありません。どの方法もメリット・デメリットがあるため、転勤年数や家族の状況などを考え、慎重に検討しましょう。